コーチ・オクヤマの「直言居士で失礼します」 第18斬
ディベートコーチ・オクヤマの「直言居士で失礼します」 第18斬(写真は、東京日本橋の写真)
「『後だし』がコミュニケーションに与える悪影響について」
皆様、こんにちは。
いよいよサッカー・ワールドカップ開催が迫ってきました。
今回の開催国はブラジル。
ブラジルといえば、私も仕事で4年間駐在したことのある思い入れの強い国。
時間が許すなら現地に行って、現地の盛り上がりを肌で感じたいところです。
現地のインフラ整備が間に合っていないというニュースが報道されていますが、
ブラジル人の国民性をよく知る者としては、「なるほど」と納得してしまいます。
もちろん全員ではありませんが、大半のブラジル人は仕事よりも、
プライベートの充実に重きをおいています。
例えば、定時が来ると、「家族が待ってる」と言い残して、
仕事を終わらせずに帰ってしまうブラジル人の部下も一人や二人ではありません。
(重ねて強調しますが、仕事に責任感をもって臨むブラジル人もいます)
このようなお国柄ですから、スタジアム建設・選手村の準備が間に合わない、
というニュースを見ても、「あるよなー」と全く驚けませんでした。。。
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PKO派遣された自衛隊によるインフラ整備活動も世界で評判が高いですし、
ODAを経由したインフラ整備支援もまた然り。
今年2月には、東京都知事選で初当選した舛添要一氏の就任会見の中で、
東京オリンピック2020に向け、老朽化したインフラを見直す一貫として、
東京都心を網の目のようにはっている首都高速道路の改修を完了すると発表されました。
一部の高速道路部分については、地下に移設するというプランも出ているようです。
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「本当に間に合うのかな?」と心配される方も多いと思いますが、
日本人の仕事への責任感・国民性・過去の実績などを鑑みると、
きっと間に合うだろう、という推測ができると思います。
私は東京日本橋界隈によくいるのですが、
首都高速が地下化することで、ガラリと日本橋の景観が変わるのではないかと、
今から期待でワクワクしています。
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ディベートと日本人の国民性についての話をします。
ディベートのルールには、「後だしをしない」という決まりがあります。
つまり、主要な論点や前提条件については、
最初の段階ですべて出し切る必要があるということです。
これは、生産的な議論をする為には、不可欠なルールと言ってもいいでしょう。
例えば、ある新製品の企画・開発を考えてみましょう。
デザイン・色柄・素材のグレード・価格帯などを関係者で綿密に打ち合わせをしたとします。
最終局面になった時に、
「実は、予算が少ないので、想定する新製品の製造コストを見直してくれ」
という財務担当役員からの横やりが入ったとするとどうでしょう?
新製品の企画は、最初から全てやり直しになってしまいます。
もうひとつ例を挙げます。
ある外資系企業との契約書締結の場面。
こちら(日本企業)の法務部による内容確認を依頼した結果、
合計3点の指摘事項を受けました。
取引先である外資系企業に、それら3点の指摘事項を伝えたところ、
先方は全て受け入れてくれ、契約書の内容を修正してきました。
修正された契約書を法務部に回覧し、
「比較的簡単に法務部のチェックを通過して良かったな」と安心していると、
何と、その法務部から新たに2点の指摘事項が!!
仕方がないので、追加2点の指摘事項を取引先である外資系企業に伝えたところ、
「何故、追加で2点の指摘事項が発生したのか?」
「最初の指摘事項に含まれていなかったのは何故か?」
「新たな妥協を迫られるのならば、最初の3点の修正はなかったことにしてもらいたい」
と、契約交渉が振り出しに戻る有り様。
結局、取引先である外資系企業は、不信感を払しょくすることができず、契約書締結には至らなかったという話です。
欧米諸国では、学校教育の中でディベートを学びます。
その中では、議論・交渉の大前提として「後だしをしない」ことが、
暗黙の、そして当然のルールと考えられています。
日本企業にありがちな「段階的に交渉を進める」というスタンスが、
理解されないのも無理はありません。
日本企業同士での交渉においても、
「実はね、、、」と交渉の最後の最後になって、
重要な論点を出されたとすると、交渉は振り出しに戻り兼ねません。
当然、相手に対する不信感が生まれることにもつながります。
「後だし」がコミュニケーションの妨げになるという点について、
バーニングマインド・理事を務める太田龍樹の著書
『話し方にもっと自信がつく100の法則(中経出版)』
の中で紹介されている法則14にて、詳しく解説されていますので、
ご興味のある方は是非そちらをご参照ください。
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