アビコ青年のネオ・ディベート事件簿 file 43

ほぼ月イチコラム アビコ青年のネオ・ディベート事件簿 file 43

本日のテーマは「速読の真実」です。

■「速読は不可能」、科学的に実証

学生時代、速読に憧れました。
たくさんの教科書、興味のある書物、
それらを高速で読めたらどんなに楽だろう。

ですが、同時に違和感も覚えました。
じっくり読んでも分からない内容を、どうして速読できるのだろう?

そんな長年の疑問に終止符が打たれました。
科学的に、いわゆる「速読術」は無理があるという研究結果が報告されました。

『Psychological Science in the Public Interest』誌に論文を発表したカリフォルニア大学の心理学者Elizabeth Schotter氏は述べています。

「現存する科学的根拠によれば、速度と正確さには反比例の関係があり、読み手が読むべき文書にかける時間が短いと、その分だけどうしても理解が劣ってしまう」

研究チームは、速く文章を読めるようになるとされるテクニックやアプリを対象に、何十年にもわたり研究を続けてきました。
ですが、残念ながらそんな便利なものはないというのが結論です。

齋藤孝の速読塾 これで頭がグングンよくなる! (ちくま文庫)

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■速く読むためには?

上記の研究結果によれば、速く読める唯一の方法は「斜め読み」。
これは適当に読む、という意味ではありません。

時間効率の良い読書をするには、
読むべき部分を効果的に選択できる必要があります。
効率的な斜め読み、すなわち、テキストの中で情報量の多い部分を読み分けて、
優先順位の高い箇所を読むということです。

つまり、「読む能力を総合的に高める方法は、読解練習をすること」
というのが、先ほどの研究の結論でした。

ピンと来た方も多いかもしれません。
結局、これは学生時代に現代文や英語で学んでいた方法だったのです。

■読解力が大きく問われる現代

今や年齢を問わず読解力が求められる時代です。
それも、「読めた方が良い」程度のレベルではなく、
下手をすれば「生死に関わる問題」です。

大げさなようですが、
広島県で16歳の無職少女が、元同級生に殺害された事件。(2013年)
きっかけは無料通信アプリ「LINE」での、エスカレートしたやり取りでした。

言うまでもなく、LINEだけが問題ではありません。
それを使いこなせない利用者の責任も大きいです。

全ては文字を通したやり取り。
伝える側にも、受け手の側にも、正確な読解力、文章力が強く要求される時代です。

■数々の失言

たとえ単語レベルでも、言葉一つで人生は左右されます。

「歯舞」を読めずにバッシングを受けた島尻北方相。
「未曾有」を読めずに叩かれた麻生元首相。
森元首相といえば、その失言は数知れず。

これらは多少の揚げ足感はあるものの、
言葉に対する感覚、理解力は常に磨かなければと痛感します。

そして、その言葉の集合体である文章を正確に理解する力は、
大人になっても磨き続けなければなりません。
数々の報道を見るにつけ、改めてそう感じます。

■読解力を鍛え直す

文字でのやり取りは、直接会って話が出来ない点で高度なコミュニケーションです。
その基礎を養う上で、実は国語、現代文は重要な勉強だったと感じます。

来月から新たな年度が始まり、
色々な目標を立てられる方も多いかと思います。
その一つに「読解力を鍛える!」という目標はいかがでしょうか?

方法はいくらでもあります。
書籍で学ぶ、現代文を学び直す、新聞の社説を要約する、
主語と述語を意識して読む、メールを書くときに読み手を強く意識してみる。

出口汪 現代文講義の実況中継(1) (実況中継シリーズ)

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ちなみに、これらは全て私自身の目標です。
もっと鍛えなければ!

以上

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