今日のターゲットは「受けの美学 - Part1」

少し前のニュースになりますが、
先月の8月25日、日本ボクシング界に激震が走りました。

2012年ロンドン五輪にて、日本に48年ぶりの金メダルをもたらした村田諒太選手が、
2ラウンドTKOで、見事プロデビューを果たしたのです。
しかも、デビュー戦の相手は、東洋太平洋ミドル級チャンピオンの柴田明雄選手!!
相撲に例えると、新人力士が大関を破るぐらいのインパクトあるニュースです!!!

テレビをご覧になった方は、村田諒太選手が笑いながら入場する映像を見たかもしれません。
試合前なのにヘラヘラしている奴だな、と感じた方もいらっしゃると思いますが、
実は「笑うことが一番緊張を解きほぐす方法」ということで取り入れている、
メンタルコントロールの方法とのこと。

とりわけ筆者が注目したのは、村田諒太選手がTKO勝利を飾った後、
派手なTKO勝利と対照的に、ただ静かにリングの四方にお辞儀をしたこと。

南京都高校ボクシング部時代の、亡き恩師、武元前川先生から、

 「相手がいるからこそボクシングという競技は成り立つのだ。負けた相手に敬意を表しなさい。
  派手なパフォーマンスはしてはならない」

と、きつく言いつけられてきたスタイルを守った、村田諒太選手の礼儀正しい姿が心に残りました。


「相手がいるからこそ」という点は、
まさにディベートでも実社会でも共通する重要なポイント。

ディベートって相手を言い負かしたり、論破する技術でしょ?」
と言われることがありますが、そんなディベートは世の中で通用しません。

バーニングマインドが提唱するネオ・ディベートの考え方では、
「相手を受ける」ということを、とても大切にしています。

「相手を受ける」ということは、
「相手が言うことを徹底的に聴き、相手が大切にしている価値感まで深めて理解する」ということです。
小手先の技術で相手を言いくるめることではないのです。
バーニングマインドでは「相手を受ける」ことを「受けの美学」という概念の重要パーツの一つとして、
受講生の皆様にお伝えしています。


少々視点を変えた話となりますが、
筆者には5歳になる娘がいます。
日々子育てに奮闘しているところですが、
先日、とても有益な本を読みました。
男親が決して経験することがない知見が詰まった本なので、
娘さんを持つ全ての父親の方にお勧め致します。

香川大学教授の岩月謙司氏の著書『娘は男親のどこをみているか』という本です。

 

この本の中では、
「幼少時代に父親に受け入れて貰えないと感じた娘は、一生不幸になってしまうメカニズム」
について、女性心理学の観点からかなり詳細に書かれています。

幼少時のたった数年の経験が、
80年近い残り人生に大きく影を落とすという意味で、そら恐ろしくなりました。

子どもにとって唯一の居場所である家庭、そして最初に出会う異性である父親、
そこで「受け入れられる」ことは、子どもにとっては生死に関わる重大事ということです。

そう考えると、「相手を受ける」ことは、
「相手を尊重すること」「相手の立場を作ってあげること」と同義だということが分かります。
また同時に、実社会における円滑な人間関係を形成することにも貢献することも、
ご理解頂けるのではないでしょうか?

より良好な人間関係を築きたいと考える方は、
まずは「相手を受ける(深く聴く)」ことを心がけて下さい。
そうすることで、それまでギクシャクしていたコミュニケーションの歯車が動き始めることでしょう。


次回コラムでは、
当コラムの後半部分にあたる「受けの美学 - Part2」を紹介します。
どうぞお楽しみに!!