『賛否両論のための基礎知識』第1回
ほぼ月イチコラム 今日から、装いも新たに再スタート
時事問題がわかる BURNING MIND主席講師・井上晋の『賛否両論のための基礎知識』第1回
明けましておめでとうございます。
本年も、BURNING MINDならびに、ほぼ月イチコラムをよろしくお願いいたします。
近所の神社は初詣の人々で大変賑やかでしたが、安倍総理大臣の靖国参拝も大きな反響を呼びました。
なぜこのような大きな問題になっているのか、ディベート的に検証してみましょう。
ずばり「日本の首相は、靖国神社に参拝すべし。是か非か」
(実は、BMでは、2005年8月のBM D-1 GP?FINALでこの論題を扱っています。)
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この論題では「靖国神社」というものについての認識です。
日本武道館の向かいにあるこの神社には私も何度か参拝していますが、独特の雰囲気のある神社です。
靖国神社には通常の神社と異なる特異な歴史があります。
創建当時から、国の軍務官(明治政府が軍事防衛を司った機関)が所管し、陸軍と海軍が祭事を統括してきたという歴史があります。
そのため、戊辰戦争以降、太平洋戦争で亡くなった方々、つまり、国のために戦い亡くなった方々を祭っている神社となっています。
この歴史の中で、1978年にA級戦犯が合祀されたことは、大きなターニングポイントです。当然、処刑された東条元首相らも含まれています。
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多くの日本人が関係する問題ですが、そのなかでも遺族の方々は大切なキャストでしょう。
また、今回問題となっている周辺諸国というキャストも重要です。
遺族の方々にとっては、国のために戦い死んでいった身内に対して、国を代表して参拝してもらえるということは、大きな心の救いになるでしょう。
自分の親や兄弟が「お国のため」として死んでしまったという深い悲しみを持っている人々にとっては、首相の参拝とは本当にうれしいものでしょう。
また、国としても戦没者を慰霊するということは、当然のことです。
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彼らにとってみると、「自分たちの国土をあらし、仲間を殺した張本人であるA級戦犯を神様として祭っている神社に日本の首相が参拝している。」ということになります。
この事実を重く受け止めれば、中国や韓国のこの度の反応も頷けるものがあります。
また、中国韓国と日本との関係改善を期待しているアメリカの反応もしかりです。
双方の立場を見るにつけ、戦争が残した爪痕の大きさを思い知らされるばかりです。
さて、最後にこの論題の主語は「日本」であることに触れなければなりません。
遺族と近隣諸国の意向を理解したうえで、「日本」=「日本国民」=「我々」はどうすべきかということです。
マッチョなスタンスをとることも一つの方法ですし、恭順なスタンスをとることも可能です。
歴史認識を問い直す 靖国、慰安婦、領土問題 (角川oneテーマ21)
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双方の国家元首から国民一人ひとりまでが、論理をふまえて、情熱と人間性を発揮し、信頼関係を作っていくしかないように思えてならないのです。
では、ご機嫌よう。