井上晋の『賛否両論のための基礎知識』第11回

ほぼ月イチコラム
時事問題がわかる BURNING MIND
主席講師・井上晋の『賛否両論のための基礎知識』 第11回

7月26日は、「使えるディベートセミナー 12期」の2日目でした。
会場に向かう電車で読んだ日経新聞の一面は、
カジノ、20年までに3カ所 大阪・沖縄など候補 」

奇しくも、当日のディベート論題「日本は、カジノを解禁すべき」とぴったり一致です。
使えるディベートセミナー論題は、約2ヵ月前に決めます。
実際試合をするときにホットになっているであろうテーマを選び決定されるのですが、弊社論題評議委員のヨミの鋭さに脱帽です。

議員立法された法案は、今年中にも成立する可能性があり現実味をおびた議論になっています。

そこで、本日のテーマは、
「日本は、カジノを解禁すべし」

カジノ解禁肯定側の大きな主張は、何といっても経済効果でしょう。

カジノの経済効果については多くのレポートがありますが、少なく見ても1兆円〜2兆円の収入が見込めると計算されています。
また、雇用効果についても50万人からの雇用を生み出すと計算されており、これも大きな効果です。

日本カジノ戦略 (新潮新書)

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一方で懸念されるのは、ギャンブル依存症です。
日本には、すでに公営ギャンブルが根付いており、
男性483万人 女性76万人 合計559万人のギャンブル依存症がいるとされています。(2007年厚生労働省調べ)
ギャンブル依存症 (生活人新書)

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比率でいうと、5.6%だそうで、アメリカの0.6% マカオの1.78%と比べても極めて高い数字です。日本人は、ギャンブルにのめり込みやすい気質があるんですね。

さて、このような日本にカジノが来るとどうなるのでしょうか。
私は2つの理由から日本に根付かないように思います。

それはひとえに、日本人にはギャンブルをエンターテインメントとして楽しむという文化が根付かないのではないかと考えるからです。
既存の公営ギャンブルの還元率とカジノのそれを考慮する必要はあると思いますが(公営ギャンブルが70%に対しカジノは90%以上)、日本人は賭け事自体を勝負ではなくエンターテインメントとしてとらえることができないのではないでしょうか。
それは、日本の賭博が貴族や資産家のたしなみとして発展してきたのではなく、切った張ったの勝負から来ているというのが大きいからです。
長年根付いてきた文化はなかなか変えることはできません。

さらに、日本人が慣れ親しんできたギャンブルは、
競馬であれば馬の血統や直近のレースの状況を調べる
競輪であれば出走選手の出身地や年次、グループなどを調べるなど
事前の準備に複雑さを求めるところが多く、気軽に楽しむといった趣味ではありません。

みなさんはどのように考えますか。
ではごきげんよう

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