井上晋の『賛否両論のための基礎知識』第6回
ほぼ月イチコラム 捕鯨問題をイノウエが解説
時事問題がわかる BURNING MIND主席講師・井上晋の『賛否両論のための基礎知識』 第6回
満開だった桜も、すでに葉桜になり、桜の儚さを実感します。
また、その桜を愛でるこころに、自分も日本人だなとつくづく思います。
さて今回のテーマは、クジラについて。
4月9日のディベートコーチ・オクヤマのコラムとテーマがかぶってしまいますが、
少し切り口を変えてアプローチしてみたいと思います。
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この問題を、3つのキャスト(側面)から見てます。
まず、食糧としての観点。
この観点は、議論がしやすい。目に見える形になるからです。
クジラがないと日本人の栄養摂取に問題が出そうであるかとなると、答えは確実に「ノー」であろう。
現在において、鯨肉を主要タンパク源としているひとはほとんどいないはずです。
白人はイルカを食べてもOKで日本人はNGの本当の理由 (講談社+α新書)
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次に国際的、経済的な問題
これも、とくに調査捕鯨については、旗色が悪い。
多くの国際的な摩擦を抱える日本において、捕鯨問題で強硬になることのメリットが失うデメリットの方が明らかに大きそうだからです。
そうすると、最後に残るのが文化的な争点になります。
そしてこれは、ほぼそのまま感情論となってしまいます。
「クジラを殺すのはかわいそう。高等な動物だもの。」
「いやだって、ウシだって同じじゃない。
だいたい、ウサギさんはかわいいよ。」
「じゃぁ君、鴨川シ―ワールドにいる、イルカ殺せる?」
完全に感情論になります。
感覚論といってもいいかもしれません。
ここに、おいしい、おいしくないが入ってくるとおそらく収集がつかなくなる。
つまり、この問題は、論理的にきれいに分かれる問題ではないということなのです。
Newsweek (ニューズウィーク日本版) 2014年 4/15号 [捕鯨に未来はあるか]
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をあげています。
この問題はその中でも、思いっきりパトスに偏った問題です。
感情的な問題にあたるには、「これは、感情的な問題である」と明確に認識してあたることが大切です。ここで、ロゴスを通すことに一生懸命になると、収集がつかなくなります。(クジラ問題が荒れ続けているのはそのためでしょう)
ネオ・ディベートが大切にする「相手を受ける」は、論理的にも受けるし感情的にも受けるということです。
感情的に相手を受けることがこの問題の解決につながりそうです。
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では、ごきげんよう。
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