コーチ・オクヤマの「直言居士で失礼します」 第22斬
ほぼ月イチコラム ディベートコーチ・オクヤマの「直言居士で失礼します」 第22斬
「日本にとってのグローバル化とは」
皆様、こんにちは。
信号機のない環状交差点「ラウンドアバウト」の交通ルールを定めた
改正道路交通法が2014年9月1日より施行されました。
「ラウンドアバウト」とは、時計回りの一方通行の交差点のことで、
交差点に進入する車両は交差点内の車両を優先する仕組みです。
洋画のワンシーンでよくみかけたりしますが、
海外では一般的な交差点になります。日本では初めての試みです。
「ラウンドアバウト」に入る際は必ず『左折』となるため、
交差点事故の大半を占める『右折』をする必要がなくなります。
つまり、右折車と対向車の事故が起きにくいため、
重大事故の減少を期待できるという訳です。
信号器自体がないので、維持費がかからず、さらには、
停電による交通マヒも避けることができる妙案でもあります。
東日本大震災を経て、導入の必要性が高まったとのこと。
メリットが多い半面、デメリットもあります。
例えば、「ラウンドアバウト」の設置には、広い土地が必要となったり、
交通量の多い交差点だと渋滞が頻発します。
歴史を振り返ると、日本人は「良いとこ取り」をするのが得意な民族。
他国の優れた文化や製品を片っぱしから模倣して、
日本に合うようにアレンジして組みこんでしまうのはお手の物。
そうした日本の特性を、世界的ベストセラー「文明の衝突」を書いた
サミュエル・ハンチントン教授は、「日本独自の文明」と呼んでいます。
また、京都大学名誉教授である佐伯啓思氏は、日本の文化について、
「極めてパッチワーク的である」と評しています。
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「ラウンドアバウト」もうまく日本の交通事情にあった形で、
スムースに導入されることになるでしょう。
さて、前振りが長くなりましたが、「グローバル化」について話を進めていきます。
まずは「グローバル化」の定義ですが、広義に取ると分かりづらいので、
当コラムでは「日本固有ではなく、世界共通で統一された基準を取り入れること」とします。
例えば、ユニクロを運営するファーストリテーリング社長柳井正氏は、
「世界同一賃金の導入」「英語公用語化」を明言・推進しています。
これは賃金体系や共通言語を「グローバル化」するということです。
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「人材の獲得範囲を日本から世界に拡大する」という点で、
「世界で戦える企業にする」という柳井氏の経営哲学が見えてきます。
さて、「グローバル化」の本質とは何でしょうか?
私は「画一化・多数派を尊重」だと考えています。
対立する概念は「多様化・少数派に配慮」となります。
つまり、「グローバル化」するべきか否かを考える際には、
多数派というキャストと少数派というキャストを比較して、
判断材料・判断基準を考える必要があるということです。
一つ例を挙げると、TPP交渉の中で、
農作物の輸出入における関税障壁をなくすという議論がありますが、
これはまさに、TPP参加国間における「関税率のグローバル化」と言えます。
日本の多数派である一般国民(=農業非従事者)にとっては、
安い輸入品が国内市場に流通することによって、食費が下がる可能性が高いでしょう。
消費税が上がる一方、所得は増えないという現状、これは大きいメリットといえます。
一方、少数派である農家の方にとっては、
生産コストが安い国からの輸入品との価格競争が始まり、
生計が成り立たなくなるケースが増えるかもしれません。
もし、廃業する農家が続出するならば、こちらも大きいデメリットとなります。
日本政府は、多数派の利益を尊重するか、少数派を守ることを優先するか、
慎重に判断しなくてはなりません。
ただ、私としては、TPPをはじめとする「グローバル化」自体は、
結局のところ、日本は乗り切ってしまうのではないかと楽観しています。
黒船という外圧に対して、明治維新で西欧列強による植民地化を乗り切った歴史、
また、第二次世界大戦後、戦力不保持という平和憲法を押しつけられても、
それを逆手にとって経済大国化を成し遂げたというしたたかさ、
プラザ合意による超円高でも競争力を保ち続けた自動車業界の強さ、
ルール変更への柔軟性・対応力こそが日本最大の武器といえます。
日本にとって、「グローバル化」はいたずらに恐れる対象ではなく、
変革につなげる原動力として考えるのが良いというのが筆者の考えです。
最後になりますが、
先述したファーストリテーリング柳井正社長兼会長の言葉を引用します。
「Change or Die(変革かそれとも死か)」
この覚悟をもって、「グローバル化」というかじ取りをしたのでしょう。
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